残す、伝える これからも 高校生ら被災体験語り継ぐ 3・11から10年
東日本大震災の発生から10年を迎える。多くの人命が失われ、教育界にも深い爪痕を残す一方、震災の経験を語り継ぐことが新たな課題として浮上している。
(6、18面に東日本大震災関連記事)
野球練習広場を経営、数学個人指導にも挑戦 退職校長奮闘記
近藤 義男 元千葉市立小学校校長
日本中学生野球連盟で専務理事を務めるなど中学校での野球指導で知られ、昨年度まで千葉市立小学校校長だった近藤義男さん。現職の校長時代は、野球指導などで培ったノウハウや発想を生かし、ストレスの少ない学校づくりを進めるなどユニークな取り組みを展開していた。定年退職後は、地域の野球少年がいつでも練習できるようにと立ち上げた「KC練習広場おゆみ野」(千葉市)の管理・運営に専念。コロナ禍で練習の場をなくした子どもたちを支えている。自身の「強み」を生かし、楽しみながら歩んだ1年の活動を寄せてもらった。
震災経験生かし保育での安全な生活保障
宮城県気仙沼市立大谷幼稚園 上
平成23年3月に発生した東日本大震災から、11日で10年の節目を迎える。地震と津波で大きな被害を受け、多くの尊い命が奪われた宮城県気仙沼市は「津波死ゼロのまちづくり」を目指し、復興を進めている。津波の被害によって500メートルほど離れた現在の場所に移転した同市立大谷幼稚園(木村恵美子園長、園児51人)は震災の教訓を生かし、より地域との連携を深めて、保育での安心・安全な生活を保障している。
自然事象・他者と「対話」考えを説明できる子育む 理科教育で
福岡・那珂川市立片縄小
開校以来、理科教育に力を入れて取り組む福岡県那珂川市立片縄小学校(石松政浩校長、児童559人)。問題解決の過程に「対話ユニット」と呼ばれる手だてを位置付け、子どもが自ら考えを形成できるようにしている。既習内容を情報として残し、それを生かすためのノートづくりに関わる詳細を示した「理科学習の手引き」も活用。教師の指導力が向上し、「理科の見方・考え方」を働かせた授業づくりの充実につなげている。
自己決定場面設け主体性育む IBをツールに探究的な学び展開
広島県立広島叡智学園中学校・高校 下
古市 吉洋 MYPコーディネーター
前回に続き、広島県立広島叡智学園中学校・高校の教育活動を紹介する。今回は古市吉洋・MYPコーディネーターに主にIB(国際バカロレア)をツールにした探究的な学びについて寄稿してもらった。
オンラインで平和学習 現地の中高生がガイド
東京都立井草高校
東京都立井草高校(内田圭一校長、生徒817人)は2月13日、アウシュビッツ強制収容所の資料や遺品などを展示しているホロコースト記念館(広島県福山市)をオンラインで見学した。参加したのは同校の1、2年生で、現地の中・高校生が館内をガイド。平和の大切さを学んだ。
衛生委員会主導で働き方改革 岩手の小学校
「形骸化している」と指摘されがちな学校の衛生委員会が中心となって、働き方改革に取り組んだ学校がある。岩手県八幡平市のある小学校では、衛生委員会が教員の残業時間を細かく示し、時間管理に意識を向けさせた。教育活動の優先事項も見直し、働き方改革を進めた。
学校・地域が連携、共通意識を
11日で東日本大震災から10年になる。文科省は2月20日、防災教育についてのオンラインフォーラム「東日本大震災の教訓を未来へ」を開催した。岩手県、宮城県、福島県から、防災教育施設の職員や中学校校長、県教委の職員らが参加。一人一人が被災する可能性を自分ごととして捉え、地域と連携しながら楽しく持続的に学ぶ防災教育が必要との考えが出た。