教育界 この1年 2022年の教育トピックス
コロナ禍が始まって3年目となり、引き続き感染対策に追われた今年も間もなく暮れる。この1年間に教育界でどのような動きがあったのか。
「学習端末の使用率上がった」9割以上 東京都中学校長会が調査結果報告
東京都中学校長会(会長=山口茂・国立市立国立第三中学校校長)は11月24日、なかのZERO(東京・中野区)で、令和4年度研究大会を開催した。当日は、新学習指導要領下での授業や指導の実態、GIGAスクール構想やデジタル教科書の有効性などの調査結果を報告した。その一部を紹介する。
「直接体験」「五感で感じる環境づくり」重視
保育環境構成の手引から
兵庫県伊丹市立幼児教育センター 下
各園の日々の保育における「環境の構成」の手掛かりになることを目指し、市内の幼児教育・保育施設の実践を基に日々の保育における「環境」を具体的にどのように構成するといいかをまとめて、兵庫県伊丹市立幼児教育センターが作成した「伊丹市保育環境構成のてびき」。実践が掲載されている園には、直接体験や五感で感じる環境づくりを大事にした保育を行う市立北保育所(中務葉子所長、園児159人)も含まれている。同保育所の環境構成の取り組みを紹介する。
フードロスを「自分ごと」として考える 企業の支援で特別授業
社会問題の一つになっているフードロス(食品ロス)を学ぶ特別授業が11月7、14の両日、東京農業大学稲花小学校(夏秋啓子校長、児童285人)で行われた。クイズなどを交えながら楽しく学び、今後実践していきたい「フードロスおたすけ3ルール」を考案。「フードロスおたすけカレンダー」も作成し、授業後、その3ルールを継続して各家庭で実践している。継続できたら、学級担任から「フードロスおたすけアンバサダー認定証」を授与する予定だ。
ICTを活用したキャリア教育を推進 自ら学び続ける「能動的学習者」育成目指し
新潟・長岡市立関原中学校
知・徳・体を総合的に育み、ICTを活用したキャリア教育を推進している新潟県長岡市立関原中学校(田中哲也校長、生徒262人)。「キャリア・パスポート」「自己理解シート」などを開発し、12の研究プロジェクト(「ICTを活用した学びのポートフォリオ」「学習状況の観点別評価」など)に取り組んでいる。目指すところは、自ら学び続ける「能動的学習者」(アクティブ・ラーナー)の育成。同校の指導・助言を行う吉崎静夫・日本女子大学名誉教授のコメントと合わせて紹介する。
一人一人のニーズに対応した教育へ貢献 特総研新理事長に聞く
中村 信一 国立特別支援教育総合研究所理事長
日本で唯一の特別支援教育のナショナルセンターとして、実際的な研究と専門的・技術的研修の一体的な取り組みや総合的な情報収集・発信に取り組み続けている(独)国立特別支援教育総合研究所(特総研、神奈川県横須賀市)。10月1日付で就任した中村信一理事長に、就任の抱負や特別支援教育の現状と課題、それに対する特総研の取り組み、自身の特別支援教育に対する思いなどについて話を聞いた。
地域の課題学び、町長に質問 自ら行動する主権者育成へ
千葉・酒々井町
千葉県酒々井町では、地域の歴史や文化などの学習を通して地元への愛着と誇りを育む学習を「酒々井学」として小・中学校で実施している。小学校6年生では、社会科と関連付け、町にある問題を自らのこととして捉え、改善点を考えてきた。その結果は学級内で発表し合ってクラス代表を選挙で選ぶ。代表者は町長に質問し、見解を求めた。自ら行動する主権者の育成も狙う。