27年度予算案 各省庁の事業
政府の平成27年度予算案には、文科省以外の省庁からも教育に関わる事業が盛り込まれている。国連ESD10年の最終年後の在り方をどう構築するかの検討や新子ども・子育て支援システムの質の改善への措置、学校現場が多忙感を抱える中、新たな教育を全国へ普及させるための教員への支援などが打ち出された。
小・中学校規模適正化で手引
児童・生徒数も判断材料に
文科省
文科省は19日、中央教育審議会の初等中等教育分科会で小・中学校の適正規模についての手引案を公表した。これまで省令で示していた学級数以外にも、児童・生徒数の将来推計に基づいて統廃合を検討する必要があるとした他、学校規模の標準を下回る場合の対策を目安として示した。手引は中教審で了承され、通知とともに今月中に全国の自治体に配布する。
体力を大きく伸ばした実践は
群馬県・奈良県
小学校5年生と中学校2年生全員を対象に文科省の全国体力・運動能力等調査で、群馬県と奈良県の子どもたちの体力の伸びが、他の都道府県よりも大きいことが明らかになった。昨年度、全国平均並みの結果だった両県の学校では、子ども自身が自分の生活を振り返ることで、運動習慣を身に付けさせたり、日々の体育の授業に筋トレを導入したりといった実践を重ねていた。
オールイングリッシュで外国語活動
中期3カ年計画立て学校改善
民間出身 玉川・大阪市立梅香小校長
大阪市立梅香小学校(児童186人)は平成25年度に民間出身の玉川実二校長が着任、学校改善の中期3カ年計画を打ち出し、学力向上の取り組みを推進するとともに、英語力育成に向けてオールイングリッシュで外国語活動を展開したり、ICT教育を充実させたりしてきた。同市の民間人校長は、不祥事などがクローズアップされることもあったが、同校は着実に積み上げを図る好事例の一つだ。
朝イチから遊びたい 登園時の環境構成を工夫
東京・文京区立根津幼稚園
「一日の計は朝にあり」。東京都文京区立根津幼稚園(鳥塚恵子園長、園児70人)では、平成25年から2年間、そんな故事をほうふつとさせる研究に取り組んできた。テーマは「登園時の環境と教師の援助」。登園時の環境が充実していることは、子ども自身の「早く幼稚園に行って遊びたい!」という意欲を引き出す。またすぐに遊び出すような積極性は、幼児が主体的に活動を楽しむような「遊びこみ」へとつながり、毎日の生活の中での育ちをさらに充実したものとする。同園の研究事例から、朝の環境構成のヒントを探る。
書写を学級経営の柱に
谷 俊子・千葉県船橋市立中野木小学校教諭
新年最初の行事として、1月初めに多くの学校が行った「書き初め大会」。そんな中、書写指導の経験豊かなベテラン教師が3月で退職を迎える。県が認める授業づくりの達人の一人、千葉県船橋市立中野木小学校(大久保俊輝校長、児童1021人)の谷俊子教諭だ。書写指導を学級経営の柱とし、子どもたち一人一人が自らの課題を見つけて解決する学習活動を展開する。同校の書写指導では、全ての示範授業を請け負うなど、中堅や若手教員のけん引役を担う。「字を奇麗に書けるようになりたい!」と願う教師のために、校内では教師用の習字研修も自主的に行っているという。
より良い運動部活動目指して
日本中学校体育連盟が研究大会
(公財)日本中学校体育連盟(会長=松岡敬明・東京都武蔵野市立第一中学校校長)は15、16の両日、奈良市で研究大会を開催した。研究主題は「豊かな人間性と生きる力を育む運動部活動のあり方を目指して」。分科会では、当面する運動部活動の課題や安全な運動部活動の実施、地域社会との連携などについて事例発表を行った。
3Dプリンターで新たな学びへ
やまがたメイカーズネットワーク、山形県教育センター
山形県内の産業界や教育界などの有志が立ち上げた「やまがたメイカーズネットワーク(YMN)」(代表=大津清・県産業科学館館長)が、本年度から県教育センターと連携して手作りの3Dプリンターを県内の教育現場に届けるプロジェクトをスタートさせた。既に県内の工業高校をはじめ、複数の小・中学校や特別支援学校に導入されており、その活用についての研究も始まっている。
「疑い」覚えたら相談できる人を
虐待死を取材したルポライターが訴え
日本虐待・思春期問題情報研修センター(横浜市)は13日、児童虐待事件に関するルポルタージュ作品を執筆してきたライターの杉山春さんを講師に公開講座を開いた。杉山さんは、虐待に関する状況は日々変化しつつあるとして「先端の知識を持つことが必要」と訴えた。また、児童虐待問題に関わる人たちへの助言として、「自分の不安を語れる仲間や上司がいるとよい。自分が抱えているものを共有できる人を周りに持つことが大切」などと語った。