震災の記憶 未来に語り継ぐ
被災地で新たな教育活動
東日本大震災 3・11から4年
東日本大震災が発生してから、11日で4年が経過する。被災地では地域や学校の復興、児童・生徒の心のケアなど多くの課題がある一方、被災地の学校では震災当時をあえて思い出し、震災時の記憶を未来に語り継いでいこうという新たな教育活動が胎動する。
新たな教育の胎動
東日本大震災 3・11から4年
11日で、発生から4年が経過する東日本大震災。復興に向けて多くの課題がある被災地だが、教員や行政関係者の努力により、新たな教育の動きが生まれている。ここでは、国連防災世界会議で紹介される仙台市立西中田小学校(堤祐子校長、児童615人)の地域を流れる川から環境と防災を総合的に学ぶ学習と、福島県広野町に4月に開校する県立ふたば未来学園高校の先進的な学びについて紹介する。
森のようちえんに自治体がサポート
引っ込み思案で一人では何もできなかった子が、どんどん川の中へと入っていけるように。森の中で鳥の声に耳を澄ますように、人の話を静かに聞くことができる子どもたち―。自然の中で保育し、五感を使って伸び伸びと子どもが育つ「森のようちえん」に行政が支援する仕組みが長野県と鳥取県で平成27年度から始まる。多様な取り組みがある「森のようちえん」の実践を県が認定し、教育関係者や保護者へ積極的にPRする他、地域の小学校との連携も進めていく。加えて鳥取県では財政的な補助も導入し、運営の安定を図る狙いだ。
大学、教委、学校 三位一体で授業改善
東京・東大和市で
大学、教委、学校が三位一体となって新たな「知」を生み出す。本年度、東京学芸大学、東京・東大和市教委、同市立小・中学校の三者が協働して体育の授業改善に取り組んでいる。学生や教師などの立場が異なるメンバーでチームをつくり、より良い授業を目指して議論を交わしている。大切にしたのは「多くの授業をこなす」のではなく「多様な考えの中で授業を考える」という視点。成果の一つとして、石井卓之・同市教委指導室長は「多くの人の考えを聞くことで、発問の工夫や子どもの見取りなど、教師一人一人の力量が高まっている」と話す。
ICTの利点生かし学習活動
思考の可視・共有化 試行の繰り返し
横浜国立大附属横浜中
「『見通す・振り返る』学習活動を重視した思考力・判断力・表現力等の育成」をテーマに2月20・21日、横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校(加藤圭司校長、生徒394人)は研究発表会を開催した。全教科、文科省の教科調査官らが助言・講演を行う同発表会には合計約1500人の教員らが参加。また本年度は、ICTを活用した授業提案も行った。
多様性生かし国際的視野培う
総合学科唯一のスーパーグローバルハイスクール
筑波大学附属坂戸高校
筑波大学附属坂戸高校(加藤衛拡校長、生徒479人)が2月19・20の両日、第18回総合学科研究大会を開催した。同校は平成26年度から全国の総合学科で唯一スーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定も受けた。指定によって「本校ならではの実践をさらに発展させることができるとともに、学校全体の目指すべき方向性が明確になった」とSGH担当の建元喜寿教諭は語る。
元校長、不登校の子どもと向き合う
フリースクール開設4年
横浜市
発達障害や家庭環境などを背景に学校を休みがちになった子どもたちの育ちを手助けしようと、小学校の校長が定年退職とともに、勤務していた学校のそばに「ボランティアスクール」を横浜市内に設立して4年。通ってきた子どもたちは学校に通い始めたり、自分のペースで学習を続けたりするようになった。教員時代に築いた人脈を生かし学校、地域社会と連携し、生きづらさを抱えた子どもたちを支えている。